「夜勤がなく休みも取りやすそうで、普通の看護業務より楽そう」
そういったイメージで地域包括支援センターに看護師として働き始めたものの、
- 施設の看護師や他業種との連携が大変!
- なんでも相談所のような役割で常に問題山積み
ひとつの案件が長期化することもザラですし、その中で新しい案件は次々と入ってきて、達成感も得られにくい現状があります。
ただ忙しい仕事とは裏腹に、
- 看護師じゃなくてもできる仕事内容に疑問を感じてしまう
- 苦労して取得した看護資格をここで終わらせてもいいのか?
- 土日は休めて労働環境はいいが、看護師としてのやりがいが忘れられない
こんな悩みを抱える人も少なくはありません。
周りの人に相談しても、やりがいを求める看護師の気持ちなど理解してもらえず、
「自分がわがままを言っているのだろうか?」
と悩んでいるのではないでしょうか?
しかしこのように悩んでしまうのは、決しておかしなことではありません。
人の命に係わる責任のある仕事を経験した看護師ならば、悩んで当たり前のことです。
今回は看護師としては特殊な働き方である、地域包括支援センターを辞める判断基準について解説していきます。
何を重要視して辞めるべきか?
実体験をもとにして、分かりやすく解説していきたいと思います。
地域包括支援センターの看護師を辞めたいと悩んだ体験談
地域包括支援センターで働いていた頃の私は、ケアマネージャーの資格や保健師の資格を有する方々の中で1人だけ看護師資格のみの所有でした。
そのため私だけ看護師資格のみなのは力量不足なのではないか?と日々悩みながら働いていました。
在宅の高齢者の方々が求めるケアなどは、私の知識の範囲を超えている部分もあります。
今現在地域包括支援センターで看護師として働きながら悩んでいるあなたの力になれるよう、私の経験をお話ししたいと思います。
- 居住地:長野県
- 年齢性別:65歳女性
- ペンネーム:よう
- 看護師経験年数:35年
地域包括支援センターで看護師として働くことになった経緯
もともと精神科や整形外科、内科、眼科の病棟勤務を経験し、訪問看護の経験もありました。
訪問看護を経験していたことで、在宅での介護度のある利用者さんの様子は理解できていました。
そんな中、介護度のない時点での在宅ケアの提供方法などを経験してみたいと考え、病院退職後に欠員の出ていた地域包括支援センターに応募し採用となりました。
地域包括支援センターの仕事は看護業務とかけ離れている
地域包括支援センターで実際に働きだすと、看護業務というよりは在宅に出向いて高齢者の方の相談に乗ることが主でした。
畑仕事をしておられる横に座って、1人暮らしの心配事や現状で困っていることがないかの確認をしていきます。
そのなかには、行事などへの参加の促しや行事の計画及び実行も含まれていました。
そのため看護師として判断するべきことは?と悩むことが増えていきました。
地域包括支援センターの仕事の大変さ
地域包括支援センターで実際に働きだすと、バイタルチェックのほかには、在宅でのお薬のチェックや受診状況そして家族、近所の方々との関わり方などをお聞きしていきます。
訪問看護でも行っていたことなので、これらは対して苦労なく行うことができました。
ただ、押し入れの整理や食事及び買い物などの話になってくると、これまでの経験からするとかなり踏み込んだ部分となり、話に詰まってしまうことが多くありました。
地域包括支援センターのきつい内情
高齢者の方のお悩みは非常に多岐にわたります。
金銭面のお話や近所付き合い、家族や親戚との付き合いのお話もあり、市役所の福祉課との連携が必要もあり、連絡を密に取り合う必要がでてくるのです。
また行事計画は、参加人数も必要となってくるため、頻回にお誘いのための訪問を行うこともあり、本来の目的はどこにあるのか疑問に感じることもありました。
地域包括支援センターでは解決の難しい問題が山積み
看護業務にかかわりのある部分については、長年自分が行ってきたことでもあるので、さして考えなくても体は動くものだとあらためて感じられました。
しかし衣類整理や食事、住居については、指導したり一緒に行って済む問題ではなく、金銭面でのフォローがいることも多いです。
そのためご家族や市役所の福祉課とも相談して、工夫していかなければ解決の糸口など見えてきません。
地域包括支援センターの仕事で疲れを感じる部分
1人暮らしの方々を、体力アップのための運動などを計画してお誘いする仕事もあります。
計画を立ててお誘いし実行する、という流れなので、精神科で経験したレクレーションのような感じでいました。
しかし実際に在宅の方々を1人1人お誘いして行事に参加していただくのは、決して簡単なことではありません。
たとえ参加予定されていたとしても当日に断りが入ったり、自宅まで確認に伺うこともあります。
楽しんで体力つくりをしていただくという本来の目的から離れ、参加人数を競う感じに疲れを感じていきました。
地域包括支援センターが激務の理由
市役所の福祉課の方々との関係は、私が就職する以前からきちんとしたパイプができあがっていました。
詳しい状況を私よりも把握されていることが多く、反対に教えていただくこともたくさんありました。
しかし解決しきれない問題も多々あり、個人レベルでは何ともできない住居問題なども出てくることがあります。
福祉課の方からは何代も前からの事案だと言われることもあり、あきらめるしかない状況も多かったです。
それでも簡単にあきらめるわけにいかないというのが、地域包括支援センターの業務が激務と言われる理由です。
地域包括支援センターの仕事には向き不向きがある
看護師は通常、医師の指示のもとで医療業務を行いますが、地域包括支援センターの仕事は、一般の方々と触れ合いながら今何が必要であるかを自己判断していく部分が大きい仕事です。
言ってみれば、未病の方々に何を行うべきかという感じです。
自分の知識が深いだけではなく、広くあることが求められる仕事だと思います。
また、臨機応変に対応できることも重要になってくるため、通常の看護スキルでは語れない向き不向きがでてきます。
看護師のやりがいで悩むなら地域包括支援センターは辞めるべき
地域包括支援センターを退職したことで、資格がないことへの自信消失感はなくなり、気分が軽くなって安心感が生まれました。
そして、自分の知識外の部分への対応や、法律的な金銭や介助範囲への対応を悩まなくても済むようになったため、スッキリ平常心で生活できるようになりました。
もちろん地域包括支援センターでの仕事も無駄だったわけではなく、母の介護の際など、地域包括支援センターの知識を活用することができ、よかったと思える部分もあります。
しかし自分の持っている看護知識外での対応は、看護師業務といっても心にかかる負担が大きいことに気づかされました。
もし通常の看護師を続けたいという気持ちが大きいのであれば、地域包括支援センターを辞めて、医師の指示を得られる病院などの仕事に戻って生きがいを持つことがよいと思います。
後悔しない転職にするためにやっておくべきこと
ここまで実例をもとにして、地域包括支援センターの看護師を辞めるべき理由を解説してきました。
体験談で語られている通り、通常の看護師業務のやりがいを捨てきれていないのであれば、なるべく早いうちに地域包括支援センターは辞めるべきです。
ただ何の準備もせずに辞めてしまっては、また別の後悔に悩まされるようになります。
最後に、転職を後悔しないために最低限やっておくべきことをまとめておきたいと思います。
希望条件は必ず整理しておく
転職する際に一番気を付けたいのは、転職する理由をしっかり整理することです。
何かしら悩みを抱えて転職する人が多いですが、そういった状況では悩みを解決するための転職になってしまう可能性が大きくなります。
もちろん転職によって悩みを解決するのは当然なのですが、一番重要なのはできるだけ理想の職場で働くことです。
今回の地域包括支援センターを状況でも、やりがいを求めて病院に転職するだけでは、問題が解決したとは言えません。
病院に転職してやりがいを手に入れても、そこでやりたい仕事ができなかったり、人間関係の問題に悩まされては長続きはしません。
具体的にどんな仕事がしたいのか?だけでなく、どんな雰囲気の職場で働きたいのか?まで具体的に整理しておく必要があります。
看護師専門の転職サイトは必ず活用する
職場がどんな雰囲気なのか?
その職場にはどのような人が働いているのか?
個人の転職活動では、このような内部事情を把握することは非常に困難です。
しかしこの部分を事前に把握しておかなければ、転職に失敗するリスクは常につきまといます。
こういった場合に有効活用したいのが、看護師専門の転職サイトになります。
看護師専門の転職サイトならば、あなたの希望を細かい部分まで把握してくれますし、内部情報にも精通しています。
事前に職場環境を知れるというのは、転職するうえで非常に大きなメリットですので、無料で利用できる転職サイトは必ず活用するようにしてください。
- コールセンターの看護師⇒看護師の知識で人の役に立てる
- 検診センターの看護師⇒事務作業が主だが採血スキルを維持できる
- 保育園の看護師⇒医療行為がまったくなく生死にかかわるストレスがない
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