会社の将来性や安定性に不安があり、安定したイメージがある大企業への転職を考えてはいないでしょうか?
確かに大企業であれば、福利厚生の充実具合や給与の安定性は大きくなります。
しかし大企業に転職して後悔する人もまた多くなっているため、充分注意しておく必要があります。
どんな企業であろうとも、向き・不向きというものはありますが、大企業にもまた特徴があるため、そういった部分をしっかりと把握した上で転職をする必要があります。
そこで今回の記事では、大企業への転職を考える際の注意点や正しい考え方について詳しく紹介していきたいと思います。
これからまずは実際に大企業への転職を後悔した体験談をご覧いただきます。
この体験談をもとにして、大企業への転職の後悔に繋がる原因を探っていきたいと思います。
大企業へ転職する際に、非常に多くの人が陥っている問題が描かれていますので、そういったポイントに注目して読んで頂ければより理解していただきやすいと思います。
体験談を読んで頂いた後には、大企業への転職を後悔する原因についてより詳しくまとめていきますので、是非最後までじっくりとご覧ください。
大企業にこだわった転職を後悔した失敗談
転職活動で重要なことは、会社のネームバリューだと思っていた時がありました。
それは、会社が大きければ安心という理由から出てきた考えです。
転職する前の会社があまり大きい会社ではなく、給料の遅延があったり福利厚生もなく、常に経営が危ないといった綱渡り状態で経営していたことがあり、次に転職する際は絶対に大きい会社にしようと決めていました。
転職活動中は勤務地や仕事内容、給料は全く考えずに、だた「会社が大きいこと」「名前の知れた大企業」にこだわって活動をしていました。
名前の知れた企業はたくさん人を採用してくれるからチャンスもあるだろうと思いこんでいましたが、実際には大企業だからこそ倍率も高く、特別なスキルが無ければ書類で落とされてしまうという現実でした。
それでも、私は大きな会社にこだわって転職活動を続けていました。
周囲からも「大きな会社にこだわっていたら上手くいかないよ」「中小企業でも上手くいってるところあるし、そういったところの方が人を増やしたいと思っているしチャンスがあるよ」とアドバイスしてくれていましたが、大企業に転職をしたいという思いは変わりませんでした。
念願の大企業への転職
いくつも大企業を受けて泣かず飛ばずが続いていましたが、ようやく大企業の中のグループ会社に採用が決まりました。
実際に入社してみると、福利厚生もしっかりしていて初日の手続きや新人研修も日にちをかけてじっくりとやってくれたので、大きな会社はやはり違うなと感じ、嬉しかったのを覚えています。
そうして研修も終わり、実際に部署に配属にされ本格的に独り立ちして業務がスタートすると、その部署の人間関係の悪さに悩まされることになりました。
大きな会社で働いている人は余裕があるんだろうなというイメージがありましたが、常にバタバタしていて落ち着かない部署でした。
独り立ちしたと言ってもまだ分からないことが多いので、質問したいのですが、「私は関係ない」「私は忙しいから他の人に聞いて」と言われて、別の人に聞いたら「他の人に聞いて」とたらい回しにされ、質問の答えが返ってこず、自分の力で切り開いていかないといけない苦労を味わいました。
大企業なので給料の遅延もなく、保険加入もきちんとしていましたが、大きな会社だからと言って人間関係が良いとは限らないという、当たり前のことをここで痛感しました。
むしろ、以前の小さい会社の頃は分からないところも聞きやすく、狭い範囲で仕事をしていたのでつながりが密接で、困ったことも助け合いながら仕事ができていたと、辞めてから良い部分ばかり浮かんできて、大きな会社で働きたいという理由で転職活動をしてしまった自分は浅はかだったと後悔しました。
大企業への転職を後悔した原因
詳しく調べていくと、新人を仲間外れにしてこれまで何十人の新人さんが辞めていく「新人泣かせの会社」ということで掲示板にも悪評が連なっていました。
大きな会社なのに、環境は最悪だったのだと入ってから知ることになり、転職活動中に知っていればこの会社を選ばなかったのにと後悔しました。
大きな会社は長く働く上で安心な部分もありますが、必ずしも人間関係が良いとは限らず、環境が良いとは言えないことを学びました。
ネームバリューにこだわって転職活動をし、実態だったり評判などをネットで調べたりしなかった為に情報不足の状態でした。
会社の規模に限らずネットでの評判やどんな仕事をしているのか、働いている人の様子はどうなのか等を突っ込んで調べることで、後悔しない会社選びができるのだと思います。
長く働きたいと思える会社は人間関係が重要だと痛感しています。
人間関係は大きな会社だから良い、小さい会社だから悪いとは限らず、自分で情報を仕入れて長く働きたいと思える会社を取捨選択し、会社のネームバリューに左右されない仕事選びをすることが転職活動を行う上で大切だと思います。
大企業・中小企業それぞれのメリット・デメリット
今回の体験談で中心となった大企業にしても、また中小企業にしてもそれぞれのメリットやデメリットが存在します。
まずはそれぞれの特徴を理解していかなければ、どちらにしても転職を成功させることはできません。
転職後に後悔する事にならないためにも、双方の特徴はしっかりと理解しておくようにしてください。
大企業のメリット
まずは大企業で働く場合のメリットについてです。
大企業は福利厚生が充実しているからと言って安易に選ぶのではなく、そのメリットやデメリットをしっかりと理解しておくようにしてください。
・給与面や福利厚生の充実、将来の安定性
・取引企業からの信頼感
・非常に大きな仕事に関われる
・大企業で働いているというステータス
・専門性の高さ
給与面や福利厚生の充実、将来の安定性
やはり大企業となると、中小企業と比べて一般的には給与面は良い傾向になります。
また、福利厚生が充実しているところが多く、住居手当などはもちろんのこと、最近ではマッサージやお昼寝などの福利厚生もあるようです。
やはり大手となると、無駄なように思えて社員の負担やストレスを減らすための福利厚生が充実しており、働く会社を選ぶ際には大きなポイントとなってきます。
取引企業からの信頼感
大企業となると、取引先企業からの信頼が圧倒的に深くなります。
仕事をやっていくうえでこのポイントは非常に大きく、内容さえよければ取引がスムーズになり、自分の仕事への自信を持つ事にも繋がります。
大企業ならば失敗はしないというプレッシャーにもなり得ますが、やはりこの部分は大きなメリットとなります。
非常に大きな仕事に関われる
中小企業と比べて、やはり一般的には仕事の規模が大きくなります。
規模の大きな仕事を多くの人数で効率よく分担して行う事になる為、仕事全体に関わるという事は少ないですが、大きな仕事のひとつの歯車に慣れるという事は、大きな達成感を得られるメリットとなります。
大企業で働いているというステータス
学生時代の同級生や、地元の友達、また家族の知り合いなど、大企業で働いているという事は、万人の人が理解しやすいステータスとなります。
ただの自慢と言う事ではなく、社会での信頼度やローンの組みやすさ、異性からの信頼度など人生において非常に大きなステータスとなります。
専門性の高さ
大企業で働くというと、先ほども述べましたが大きな仕事を分担して作業していくという特徴があります。
仕事全体に関わる事が難しいというデメリットはありますが、全員で大きな仕事を協力していくという達成感があり、また自分の分野を徹底的にやるという事から専門性を高めていけるというメリットがあります。
これから先大企業で働き続けるにしても、転職するにしても、その専門性は大きな武器となってくれます。
大企業のデメリット
大企業で働くという事は決してメリットばかりではありません。
その仕事の大きさから、デメリットも生まれてきますので、その部分に関してもしっかりと理解しておく事が重要になります。
・人間関係や競争社会の厳しさ
・部分的な仕事
・自分の意見を通すことが難しい
・仕事に関わる人数が多い為、評価を得る事が難しい
・自分の必要性を見つけづらい
人間関係や競争社会の厳しさ・部分的な仕事
大企業では、同じようなライバルが多く存在する競争社会であることが多いため、人間関係はどうしても和気あいあいとは行きづらい部分があります。
もちろん大企業においてもそういった和気あいあいとして雰囲気の企業は存在するでしょうが、大企業の特性上厳しい状況がやはり多いと言えます。
そんな状況だからこそ仕事で負けない為にスキルは上がって行くでしょうが、やはりついていけなくて辞めてしまう方も多くいます。
トータルの人間関係としては、厳しい状況が多くなる傾向にあります。
自分の意見を通すことが難しい
大企業では経営理念や企業文化と言ったものがハッキリとしています。
その上多くの人材で一つの仕事を成し遂げるという特性上、自分ひとりの意見を通していくというのは非常に難しい事になります。
完璧に間違っている方向に進むという事はあり得ませんが、多くの人が進みやすい道と、個人が進みやすい道は異なって来ることも多いですが、だからと言って個人の意見を尊重して方向転換するという事は逆に難しい事になってきます。
仕事に関わる人数が多い為、評価を得る事が難しい
何度も言ってきていますが、やはり大企業の特徴としては、一つの大きな仕事を大勢の人数で分担するという事が多くなってきます。
そのため、個人でちょっとした功績を挙げたとしても、結局は全体の功績となりやすい為、よっぽどの事をしない限りは個人の功績が認められることは難しくなってきます。
自分の必要性を見つけづらい
これも大企業の特性に関わってきますが、全体で仕事を進めていくため、自分と同じような作業をする人も多くなってきます。
その分変わりはいくらでもいるような状況になり、自分一人が躓いたり欠けたりしても、計画は進めていく事ができます。
この部分は、その中で自分の存在感を示すチャンスでもあり、自分の必要性を見失ってしまうデメリットでもあります。
中小企業のメリット
続いて中小企業のメリットについて紹介していきたいと思います。
人によって大企業の働き方をメリットと捉えるのか、中小企業の働き方をメリットと捉えるのかは異なりますので、こちらもよく理解しておくようにしてください。
・人間関係が良い、コミュニケーションがとりやすい
・一人でやる仕事の範囲が広く、仕事全体に関われる
・自分の意見をスピーディーに反映できる
・若くして責任ある仕事をやりやすい
人間関係が良い、コミュニケーションがとりやすい
一般的に中小企業の場合には、少人数で協力して仕事を進めていくため、人間関係は良好な場合が多くなります。
大企業と異なって、自分ひとりの作業の範囲と言うものが狭くありませんので、周りの人と協力して、よく話し合って業務を進めていく事が重要になってきます。
その分コミュニケーションも取りやすい職場が多く、コミュニケーションが中心となる仕事と言っても過言ではありません。
連絡不足ひとつとっても仕事の進行に影響するような状況ですので、連携は取りやすい環境だと言えます。
一人でやる仕事の範囲が広く、仕事全体に関われる
大企業とは違い、自分がやるべき分野だけやれば良いだけでは無い為、仕事の範囲はすごく広くなります。
その分覚えなければならない事や責任は非常に大きくなりますが、やりがいは非常に大きくなります。
自分の意見をスピーディーに反映できる
大企業と比べて重役や社長との距離感が近い為、発言しようと思えば相手に直接伝える事も可能になります。
業務の進行に影響を与える意見などの場合には、大企業と比べてスピーディーに上層部に伝える事が出来ます。
そのスピーディーさが、仕事の進む速さにも影響してきますので、プレッシャーも増えますが、やりがいは益々大きくなってきます。
若くして責任ある仕事をやりやすい
大企業の部分でも言いましたが、大企業で自分の手柄を取るためには大変な苦労が伴います。
反して中小企業の場合には、仕事全体を通じて把握せざるをえない為、若くして責任あるポジションを任されることも少なくありません。
若いうちから責任が伸し掛かってくるのは相当なプレッシャーも伴いますが、今後の人生での分岐点には必ず武器となってくれます。
中小企業のデメリット
大企業と同じく、中小企業にもデメリットは存在します。
双方のデメリットをしっかりと理解する事で、始めて自分自身に合った方を選択する事ができますので、こちらもしっかりと読んでください。
・給与面の不安・会社の安定性や将来性
・福利厚生の不備
・人間関係の問題
・労働時間や休暇制度
給与面の不安・会社の安定性や将来性
もちろんその会社によって様々ですが、大企業と比べるとやはり給与面や将来の安定性などは低くなります。
その分自分自身の頑張りで、会社の将来が左右されるというのを実感しやすいという部分は強みになります。
福利厚生の不備
最近では中小企業の福利厚生の充実ぶりも目立ってきていますが、大企業と比べればやはり見劣りしてしまいます。
細かい内容によっては人それぞれの好みも関わってきますが、全体的に充実しているのは大企業の方だと言えます。
人間関係の問題
メリットの部分で人間関係の問題に関しては言わせて頂きましたが、少し状況がかわると中小企業の場合には、一転して人間関係がデメリットとなり得ます。
こればかりはどうしようもありませんが、ある一定の確率でどうしようもなく問題となる人は存在します。
もし中小企業にそんな人がいた場合には、距離感が近い為により深刻な問題へとなり得ます。
少ない人数でこれまでやってきた会社ですから、可能性としては大企業よりも低くなりますが、距離感が近い分深刻な悩みへとなる可能性があります。
労働時間や休暇制度
この問題も中小企業だからと言って一概に言える問題ではありませんが、一般的に労働時間や休暇制度が大企業と比べると整っていないと言えます。
一人の仕事量から言ってもしょうがない事と言えますが、一日で終わらせられない仕事量とも言えますし、自分自身に降りかかる責任から、やらなければならない仕事と言うのもどうしても増えてきます。
責任感から来る仕事量と言うのは、ストレスは少ない傾向にありますが、やはり度を過ぎるとストレスとなってくる場合があります。
一度不満に感じると、益々悩みが大きくなってきますので、注意しておく必要があります。
大企業から中小企業への転職する現実
大企業から中小企業への転職では、大企業で培ったスキルを活かしつつ、仕事の幅を広げていく事が基本となります。
スキルを活かす機会が少ない業界では、大企業で働いていたということは評価に繋がりにくい為注意が必要です。
同じ業界ならば、大企業で働いていたということは評価されますが、全く異なる業界では評価の対象となることは少なくなります。
大企業で得られるスキルは、幅は狭いですが、何かに特化した専門的なものを得られやすいので、そのスキルを活かしつつ、やりたいことに繋がるような会社を選んでいくべきです。
中小企業のデメリットを理解した上で、スキルを活かしながら仕事の幅を広げていくのが一番となります。
中小企業から大企業への転職
中小企業から大企業への転職も決して不可能ではありません。
大企業から中小企業の時とは反対で、中小企業の場合には仕事の幅が広く、仕事の全体像をつかみながら仕事をしていくことになります。
その為責任ある仕事をする機会が多く、若くして責任者を経験する事も少なくありません。
そういった経験を活かしていけば、大企業でも十分活躍していく事はできるようになります。
しかし大企業の場合には専門性の高い仕事が求められるため、自分の得意な分野をより磨いていかなければ、中小企業では活躍することは出来ません。
さらに中小企業の時と違って、同じような立場の人が大勢いるためライバルも多く、脱落する人も少なくは無い状況です。
そういった面をしっかりと理解した上で、チャレンジしていく事は充分可能性はあります。
体験談の様に、その環境性から、人間関係の問題がある場合も多い為、多少の覚悟を持ってチャレンジしていく事が重要となります。
大企業への転職を後悔しない為に注意するべき事
ここまで紹介したように、大企業にはやはり大きなメリットがあるため、そういった部分にこだわりがある人ならば、非常に魅力的な企業だと思います。
しかし体験談でも言われている通り、人間関係の問題など大企業特有のデメリットも存在します。
実はこの体験談だけではなく、大企業のデメリットで人間関係は良くある問題となっています。
マイナビ転職で行った「Q.大手企業に所属していて、嫌だと感じるところはなんですか。(複数回答可)」というアンケート結果では以下の様になっています。
大手企業で働く人に聞いた! 大手企業の嫌なところは?
Q.大手企業に所属していて、嫌だと感じるところはなんですか。(複数回答可)
人間関係 1位 35%
社風、企業文化 2位 28%
労働時間・休暇制度 3位 25%
人事制度(評価・昇進・研修など) 4位 19%
ネームバリューや社会的信用 5位 18%
業務量 5位 18%
スピード感 17%
給与(ボーナス・昇給を含む) 16%
仕事内容 16%
会社の将来性や安定性 13%
転勤 13%
人間関係が35%と大企業のデメリットとして非常に多くの人が、不満に感じている事がうかがえます。
体験談でも語られていますが、分からない事を質問しても教えてくれない様な状況は、決して珍しいことではありません。
仕事の成果で出世の道を切り開いていく弱肉強食の世界ですので、助け合いの精神が一般的には多い傾向にあります。
体験談で言われている小さな会社の場合に、みんなで助け合いながら仕事を進めていくという状況とは大きな差があります。
体験者が言うように、ネットなどで情報収集を行うという事はもちろん重要なことですが、大企業ではこういった人間関係の問題はつきものという考えを持っておく事が重要だと言えます。
あらかじめそういった世界であることを覚悟しておき、自分にやって行ける世界なのか判断しておく事は絶対に必要なことになります。
大企業のメリットばかりに目が行ってしまうと、体験談の様にデメリットが見えなくなってしまうため、事前にしっかりと天秤にかけて判断していかなければなりません。
転職後に後悔する事にならない様に、自分の向き不向きまでしっかりと考えておくようにしてください。