正社員として念願の内定を得たのに、雇用契約書が貰えず不安な気持ちになってはいないでしょうか?
雇用契約書とは、企業側に法的な義務は無いため、存在しなくても違法ではありません。
しかしこのような状況の場合には、労働者にとって大きなデメリットが生まれやすくなるため、充分注意しておく必要があります。
会社によっては当たり前の様に雇用契約書はないという事がありますが、それでも労働者としては詳しい労働条件を知らなければ大きなデメリットになってしまいます。
働き始めてから思ったよりも給与が低かった、労働時間が変則的で体がついていかない、などの状況になってから後悔してもどうする事もできません。
事前に賃金や労働時間についてしっかりと把握しておかなければ、このような事態になってしまう可能性もあります。
では雇用契約書がない状況において、違法ではないにも関わらずどのような行動が必要になるのか?何に注意していくべきか?
こういったポイントに関して、今回の記事では実際の体験談をもとにして詳しく紹介していきたいと思います。
これから紹介する体験談では、雇用契約書がない状況に生まれるデメリットが分かりやすいものになっていますので、そういったポイントに着目して読んで頂ければより理解していただきやすいかと思います。
体験談の後には、雇用契約書が無い場合のデメリットや注意点を、より分かりやすく紹介していきますので、是非最後までじっくりとご覧ください。
雇用契約書がない正社員採用を後悔した体験談
転職をするのは二度目で、次は絶対に失敗したくないと思い、考えた末に転職エージェントの会社に登録し、仕事を紹介していただく事にしました。
以前の転職の際には、雇用条件などが曖昧な状態のまま採用され、初めての給与が出るまでどれくらいの待遇なのかさえも分からなかった状況でした。
担当の方にそれとなく尋ねても悪いようにはしないとの一言が返ってきただけでした。
それは私だけではなく、別の会社に転職した知人の何人かも同じようなものだったとの話です。
働くのに重要な条件のひとつなのに、なかなか切り出しにくい部分だという事をこの時から痛感していました。
雇用契約書のない正社員での契約
転職エージェントでは、登録してすぐに前職での経験を生かせる仕事があると、ある会社を紹介してもらえました。
もちろん仕事内容や雇用条件などもしっかりと提示してもらえたので、すっかり安心していました。
しかしこれが失敗のもとでした。
面接も順調に進み、無事に採用にまでこぎつける事ができた時は、新しい職場で頑張ろうと張り切っていました。
いざ就業が始まり、事前に聞いていた話とは若干違う仕事内容などもありましたが、どんな仕事でもすべての過程を伝える事はできませんし、それくらいの違いくらいはあるだろうとまったく気にしていませんでした。
ところが最初の給料の日となり、給与明細を見て愕然としました。
転職エージェントから聞いていた額と比べて、約十万円近く少ない数字が目に飛び込んできたからです。
私は驚きましたが、初めはきっと何かの手違いだろうと思いました。
中途採用ですから、給与計算ソフトへの入力ミスとか伝達ミスのようなものがあったに違いないと思い、総務の方に聞いてみました。
しかし返ってきた言葉は、はっきりと間違いないというものでした。
いや、そんな筈はないと再度確認してもらったのですが、やはり返事は同じでした。
雇用契約書がないことが致命的に
直接、社長に尋ねるわけにもいかないので、私は悩んだ末、とりあえず転職エージェントの方に連絡してみる事にしました。
転職エージェントの方にはちゃんと記録が残っているだろうし、彼らの報酬は社員として雇用された者の年収をベースに何割というように決められると聞いていたので、私の年収はそこではっきりしている筈だと思ったからです。
電話に出た転職エージェントの担当者は、こちらの事情を聞き、確認して明日連絡しますと答えました。
翌日、携帯に電話があり、開口一番、会社側があなたに支払った金額で間違いはありませんと言われました。
そんな筈はないと反論したのですが、私に提示したのはあくまでも雇用条件の一例であり、正確なものは面接などで決めたそうです、と言い返されました。
納得出来ない私は、更におかしいと言い続けたのですが、雇用契約書は交わしていないんですか、と突き放され、それ以上は何も言えない状況になってしまいました。
雇用契約書を貰う事の難しさ
その担当者が言う通り、ちゃんと雇用契約書を交わした方が良いというのは常識なのだと思います。
でもなかなか転職の際にそれを言い出すのは気が引けるものです。
そういう心配や気兼ねをしなくていいようにと、わざわざ転職エージェントに頼んだのに、と思ってみても後の祭りでしかありません。
その後、いろいろな方に相談してみたのですが、やはり雇用契約書を交わしていないのは致命的だし、転職エージェントが提示したものが文書などで残っていない事などから、私の言い分は通らないだろうということでした。
これ以上こじれると、その会社で働き続ける事自体がつらくなるのではと言われ、結局、待遇は変らないまま、社長には要注意人物としてにらまれる状況で就業を続ける事になってしまいました。
転職の際には、転職エージェントのような第三者を通したからといって安心せず、雇用条件の確認やしっかり雇用契約書をかわすなど、自己防衛をしておかないと、私のように足元をすくわれる事がありますので注意してください。
雇用契約書がない転職の危険性
体験談をここまで読んで頂いたことで、雇用契約書の重要性や、無い場合の危険性について何となくは理解して頂けたかと思います。
しかし、実際の転職現場意においては、体験談の様に雇用契約書の重要性は理解していても、厳密に行動していく事は難しい為、実際にどんなデメリットがあり、どんなことを注意していくべきか細かく理解しておく必要があります。
そこでこれ以降は、デメリットや注意点をより詳しくまとめていきますので、この部分をしっかりと理解していただき、今後の転職活動にちゃんと活かせるようにして頂きたいと思います。
雇用契約書のない正社員雇用のデメリット
転職において正社員の内定を得るという事は、ある意味ゴールとも言えます。
実際には転職を実現する事がゴールではなく、長く働き続ける職場に出会う事がゴールですが、転職活動が長引くなど難航してくると、内定を得ること自体で安心感を得る様になります。
こうなることが非常に危険で、安心感を得てしまうと多少の不安要素は考えない様にすることが多くなってしまいます。
体験談の様に内定を貰えたこと自体に安心してしまい、本来自分自身で行うべき雇用条件の確認などを怠ってしまうようになります。
転職活動を行っている時には、あなた自身が望む条件に沿って企業を選んでいたはずが、内定を貰えたことで安心感が生まれてしまい、実際にどのような条件で雇用されるのか?という部分を確認できずに内定を受諾する人が非常に多くなっています。
体験談でもある様に、確かに聞きづらい内容ではあるものの、条件も分からずに転職を決意してしまうのは、大きなリスクと言わざるをえません。
理想的な転職とするためには、あなた自身が望む条件に沿った条件で雇ってもらえるのか?という部分は必ず確認が必要になります。
転職活動が難航すればするほど、金銭的余裕が無くなるほどこういった状況に陥りやすくなりますので、内定を得る事が目的ではないという気持ちを常に持ち続ける事は非常に重要なことだと言えます。
雇用契約書のない状況での注意点
2番目にあげられるポイントとして、転職者特有の考え方があげられます。
体験談でも語られている通り、雇用契約書を貰えない、具体的な労働条件を知らされないという事が、周りの人も含めて当たり前の様になっています。
しかし冒頭でも申し上げた通り、労働契約書というのは法的義務はありません。
それでも、労働契約を労働者に通知するという事は、労働基準法という法律でしっかりと決まっています。
つまり、労働契約書を交わしていなかったとしても、賃金や労働時間などの労働条件は、労働者に必ず通知しなければならないと法律で決まっているという事です。
このような現実がありながらも、内定獲得時に労働条件を確認できていないという事は非常に大きなリスクに繋がってしまいます。
しかし体験談でも語られている通り、転職者の立場としては強く確認しづらい現実もある為、なかなか強気に開示を求める事は難しくなってきます。
そのような現実があるからと言って、何もそのまま転職を決意するというのは、やはりリスクが大きいと言わざるを得ません。
大切なのは、雇用契約書はないにしても、労働条件をはっきりとさせない企業を怪しむ姿勢を持つという事です。
何度も言いますが転職活動は決して簡単なものでは無い為、内定を貰えるという事は非常に大きなイベントになります。
しかしその上で、難航する転職活動において内定を貰えたからと言って、そのまま受諾するには大き過ぎるデメリットがあるという事が重要になります。
相手企業の態度が強気だったとしても、聞けなかったからと言って内定を受諾するという行動がリスクを強くします。
先ほども申し上げた通り、労働条件を労働者に通知する事は義務ですので、強気な企業に対抗して何とか聞き出すという行動が出来なかったとしても、篆書気宇すべき企業かどうかは、絶対にもう一度再考すべき事になります。
相手企業が強気だからと言って、その流れに任せて内定を受諾するという事だけは避けていかなければなりません。
詳しい労働条件を聞き出すことが出来ないと判断するのならば、より慎重に転職すべき企業かどうかを判断するようにしなければなりません。
雇用契約書がない企業のリスク
ここまで紹介したように、雇用契約書というのは法的義務は持ちませんが、尋ねても労働条件を開示しない様な企業は、何かしらのリスクを抱えた企業だと推測する事ができます。
内定を貰えるという事は、本当に非常に大きな事ですが、転職後に大きな悩みを抱える事になっては、悔やんでも悔やみきれない大きな後悔へと繋がります。
相手の姿勢に惑わされずに、労働条件を開示しない企業はリスクを抱えた企業かも知れないという、相手を疑う姿勢を忘れてはいけません。
怪しんだ上でまともな企業ならば、その上で転職を決意しても遅くはありません。
相手の姿勢の勢いに流されて転職を結視するという事だけは避ける様に、雇用契約書とまでは行かなくとも、労働条件通知書など労働条件がはっきりと分かる文書を貰えないか?そうでなくともはっきりと労働条件を示してくれる企業なのか?ということは、必ず確認する姿勢を持つようにしてください。