転職する業界によっては、正社員登用の前に試用期間が設けられていることが一般的な業種もあります。
もちろん試用期間というものは、企業が労働者を見極めるために、もしくは労働者が企業を見極めるためにも重要な期間になっています。
しかし、企業によってはこの正社員登用という事自体が嘘で、とりあえず低い賃金でアルバイトとして長く働かせようとする企業も存在します。
特に試用期間を設ける事が当たり前の業界では、試用期間を無意味に長引かせようとする場合もあるため、特に注意しておく必要があります。
会社にとっては、とりあえず入社させてしまえば、あとは雰囲気でどうにでもなるという部分もあるため、入社する際の労働契約が肝となってきます。
実際に働き始めてからでは、周りで働いている人も同じような状況の人が多くなる為、事前に聞いていた話と違ったとしても、行動に移しづらい状況が生まれてしまいます。
事前にどれぐらいの試用期間後に正社員登用が可能になるのか?という事をしっかりと把握してから、労働契約を結んでいく事が重要になります。
そこで今回は、正社員登用の嘘に焦点を合わせて、注意すべきポイントなどを紹介していきたいと思います。
まずは、正社員登用の嘘だけでなく、そういった姿勢に隠された企業の悪しき体制に悩まされた体験談をご覧いただきます。
正社員登用の嘘をつくような会社においては、この体験談のような状況になってしまう可能性が非常に高い為、是非参考にして頂きこのような状況を避けていけるようにしてください。
体験談を紹介した後には、正社員登用の嘘への対処法を分かりやすく紹介していきたいと思います。
実際の体験談をもとにした注意点ばかりですので、転職者の目線により近い注意点となっています。
転職のノウハウを学ぶよりも、実際の転職活動にすぐに役立てる分かりやすい内容になっていますので、是非じっくりとご覧ください。
理想の転職先を見つけた体験談
以前働いていた会社は、とても嘘つきな会社でした。
全国に花屋を店舗展開する大手の会社です。私が応募した求人の募集要項は正社員でした。
花屋では数年の経験があったので、すぐに正社員として採用されると思っていたのですが、試用期間として3か月アルバイトをしてほしいと言われました。
3か月の試用期間なんてよくあることなので、ひとまずはアルバイトとして採用され店舗に配属されました。
その際に再度契約書を書かされたのですが、試用期間については6か月に変わっていました。
そのことを上司に伝えると、上司は内容をまったく把握していないようで、上に確認すると言ってしばらく日が経ち、私もそのことを忘れ仕事をしていました。
2か月ぐらいたった時、会社に対していろいろな違和感を感じ始めました。
その会社は結婚式場の装飾もやっていたので、店長や先輩は店舗の営業時間が終わってからタイムカードを押して、サービス残業で結婚式場の装飾の手伝いをしていました。
しかも、酷い時は夜中の2時ぐらいまでです。
サービス残業は店長もエリアマネージャーもみんなしているらしく、それが当たり前のようになっているようでした。
常に人が足りていない店舗が多かったので、店長や社員のようにお給料が固定の人は休みがほとんどなく、残業代もつかないのが当たり前でした。
店長は月に休みが5日ぐらいしかないようでした。
そんなどう考えてもおかしい状況なのに、求人を出したり、人を新しく入れる気配はありません。
このまま私も正社員になったら、サービス残業が当たり前になってしまうと思った時には、もう試用期間の3か月が経っていました。
正社員登用について店長に確認してみると、実際に正社員になるには1年から3年のアルバイトをしてからじゃないと正社員になった人はいないとのことでした。
なんで最初に教えてくれなかったのか、と怒りを感じました。
ほかの先輩に確認してみると、県外からヘルプで来てくれている先輩がいたのですが、その人もまだ1年目でアルバイトでした。
会社から、県外ヘルプをしてくれたら正社員にする、と約束されたそうですが、実際にヘルプに来てから半年以上経つのにアルバイトのままでした。
何故みんなこんな現状に不満や文句を言わないのかと思いましたが、全員が言っても無駄というような会社の風潮に毒されているようでした。
実際に不満や文句を言った人はいるようでしたが、そのような人はシフトを減らされたり、絶対に正社員になれないようでした。
ここで正社員になってもいいように使われるだけだと思い、転職を決意しました。
具体的な転職活動
会社に退職願を提出し、2か月後に退職が決まりました。そして2か月間転職活動となりました。
花屋は個人経営が多いので、求人サイトを確認し、求人を募集している花屋と、求人が出ていなくても気になる花屋は全てお客さんとして回りました。
花屋は求人の募集をしていても、ハローワークや求人誌に掲載していないことが多くなっています。
そのため、実際に店舗に行って聞いて回らないと募集しているかどうかわからないことが多いのです。
あとは、花屋歴の長い先輩にアドバイスをもらいました。
花屋は市場で買い付けをするため、一度に同じ場所に人が集まると、良いうわさも悪いうわさもすぐに広まります。
先輩に勧められた花屋は、昔からある老舗のお店でした。
その花屋は敷居が高く行ったことがなかったし、求人も出ていないのでノータッチだったのですが、先輩がお勧めしてくれるので、実際にお客さんとして行ってみました。
実際に行ってみると、お店の雰囲気はとても穏やかで優しそうな人たちばかりでした。
直感でいいお店だなと感じたので、求人は募集していないか尋ねたところ、ちょうど一人辞めたから募集しようと思っていたところだと、その場で面接の日取りを決めてくれました。
そして後日面接をしてもらい、その場で採用が決まりました。
その時勤めていた会社が退職まで2か月という猶予期間を定めてくれたおかげで、新しい転職先もスムーズに決めることが出来ました。
転職して良かった事
新しく転職することになった花屋では、約束を守らないということはありません。
個人で経営してしている花屋なので、大きな会社とは違い、決まりごとがあまりありません。
社長の一存ですべてが決まってしまうことが多く、そこについては最初は戸惑いました。
けれど、なにかおかしいことがあれば声に出しておかしいと言えます。
その意見が通るか通らないかは別の話ですが、意見をしたからといってシフトを減らされることはありません。
サービス残業はありえないし、きちんと決められた試用期間のあとに正社員にしてもらえました。
きちんと約束を守ってもらえる会社です。
これが当たり前だという人もいますが、そうではない会社も非常に多いです。
大きな会社だからと言って、大丈夫という事はないのだなと実感しました。
あのまま前の会社に勤めていたら、私も先輩たちのように、仕方がないと会社に対して諦めを感じながら、サービス残業をしていたかもしれません。
けれど、それはやっぱりおかしいことです。
同じ仕事をするのなら、自分が楽しいと思えるところを選んだ方が良いと思います。
今転職で悩んでいる人たちも、それぞれ自分にとって良い所が見つかってほしいと思っています。
正社員登用の嘘をつく会社の実態
今回の体験談を読んで頂いて、正社員登用の嘘をつくような会社の実態を理解して頂けたかと思います。
一番理解しておいてほしい事は、こういった嘘をつくような会社ですから、もちろん従業員の扱い方というものも非常に荒い可能性が高くなるということです。
あり得ない状況でも生まれる慣れ
体験談の様に、深夜までの結婚式装飾のサービス残業や、人手不足により休みが取れない状況でも増員されない体制など、まともな扱いを受けない可能性が高まってきます。
そして問題なのは、こういった環境でありながらも、それが当たり前のような状況で働いてしまっている社員が多いという事です。
いつかは正社員という話を信じて頑張っているのかもしれませんが、こういった企業では正社員になったところで、体験談の様に残業代も付かない様なサービス残業が増えてしまうだけになります。
仕事というものは簡単には辞めれないという個人の状況も大きく関わってくるため、ほとんどの人は体験談の様に声を上げようとはしません。
そうなると、間違った環境だと認識していても、いつしかそれが当たり前の様になり、残業代も付かない仕事を黙々とこなすような状況になってしまいます。
そうなってしまうと日々の仕事をこなしていく事に一生懸命になるため、簡単には抜け出せなくなってしまいます。
その企業に居続ける以上は、そういった体制がある意味当たり前の様に感じてしまいます。
しかし一歩外に出ると、体験者の様にやっぱりそれは当たり前ではない状況になりますので、慣れというものは非常に恐ろしいものだと言えます。
同じ業界でも、キチンとした体制が整っている企業は絶対に存在します。
体験者の様に行動すべき時に行動すると、理想の転職先を見つける事は充分可能になります。
決して簡単には見つけられないかもしれませんが、行動無では絶対に手に入れる事は出来ません。
おかしい事をしょうがないと諦めるのではなく、常に正しい職場を見つける思考だけは忘れない様にしてください。
嘘に騙されない為の会社選び
体験談から学べる嘘に騙されない会社選びの方法としては、まず求人情報に書かれていない突然の試用期間の提案になります。
試用期間が当たり前の業界であっても、しかるべき企業ならば求人情報にしっかりと記載があるものです。
突然そういった事を言われるのは危険信号だと捉えて、より冷静に会社選びを行っていく必要があります。
さらに労働契約書では、3ヶ月と聞いていた試用期間が6か月になっていますが、こういった矛盾点も、採用される側としては言えない人が非常に多くなっています。
確かに採用される側としては、そのタイミングではなかなか強く言いづらい状況ではありますが、はっきりとさせておかなければ、後々自分自身が大きな後悔をすることになってしまいます。
結果体験談の様に、再転職をする状況にもなってしまう可能性が大きくなりますので、労働契約を結ぶ際には、聞いていた条件と相違ないかどうかをしっかりと確認するようにして下さい。